全てはミスチルが歌っていた。

別れよう


彼女は短く言葉を発した、


急にどうしたの、僕たちうまくいってるじゃないか


僕は動揺を隠そうと必死になりながら答える。


痛かったの、貴方とのセックスは


予想もしなかった言葉に僕は頭が真っ白になった。



僕はひょっとしたら思いやりが足りなかったのかもしれない。


彼女が好きなMr.Childrenは、
何度勧められたって
「綺麗ごとしか歌わない
薄っぺらい奴らだ」
なんてよく知りもせず罵ってしまったね。


人に勧められたものを素直に受け取れない
本当に薄っぺらいのは僕の方だったよ。


『恋人とミスチルのライブに行きたい
一緒に櫻井さんを見に行きたい。』


叶えようと思えばすぐに出来てしまう彼女の夢を
僕は叶えてあげられなかった。
いや、叶えてあげなかった。


そんな、相手を理解しようとする敬意のない姿勢が
セックスにも出てしまっていたんだろうな。


自分本位な自分自身の快楽のみを追求したセックス
相手に何かするでもなく自分のペースで挿入していた。
彼女を傷つけてしまっていたんだ。


彼女がよく口ずさんでいた
Mr.Childrenの『しるし』が
頭の中で再生され始めた。


全身前戯=傷つかないための予防線


ミスチル聴いとけばこんなことにはならなかったんだなぁ